大久保様倉庫新築工事
| 発注者様 | 大久保勝令 |
|---|---|
| 設計･監理 | 古郡建設株式会社 一級建築士事務所 |
| 竣工 | 令和3年6月 |
| 構造・規模 | 鉄骨造1階 |
| 延床面積 | 101.5㎡ |
| 工事概要 | 既存木造平屋住宅解体 S造平屋倉庫新築 庭園工事 |
| 所在地 | 埼玉県深谷市 |
工場設計は、単なる建物の設計にとどまらず、生産効率や安全性、地域への配慮など多岐にわたる要素を考慮する必要があり、設計段階での決定が、後の運営効率や生産性に大きな影響を与えるため、慎重な計画が求められます。
このコラムでは、工場設計の基本から稼働までのプロセス、業者選定のポイント、さらには建設を成功させるための重要な要素について詳しく解説していきます。
1.工場を設計する際の基本
はじめに、工場を設計する際の基本的な部分について解説します。
工場設計は、他の建物の設計と異なり、特有の要件と考慮すべきポイントがあります。
●工場設計と他建物の設計の違い
工場設計と他の建物設計の最も大きな違いとして挙げられるのが、ゾーニングと動線計画の必要性です。ゾーニングとは、工場内の異なる作業エリアを適切に配置し、効率的な生産フローを実現するための計画です。動線計画は、設備や人の移動経路を最適化し、無駄を省くことで生産効率を向上させるためのものです。これらは、工場の生産性に直接影響を与えるため、設計段階での慎重な検討が必要です。
また、工場設計は基本設計と詳細設計の二段階に分けられ、工場の生産性、安全性、そして将来の拡張性を見据えた設計が求められます。以下にて、それぞれ解説していきます。
●基本設計とは
基本設計は、工場の用途、規模、構造、形状、動線や導入機械などをヒアリングし、初期の設計を行う段階です。この段階での設計は、依頼者が工場を建設するかどうかを判断するための重要な材料となります。基本設計は一般的に以下の5つの計画に分かれます。
1.配置計画工場全体の動線を決定する計画です。生産プロセスの効率化を図るために、機械や作業スペースの配置を最適化します。
2.平面計画設置する機械、作業スペース、動線などを具体的に設計します。作業者の動きや物の流れをスムーズにし、生産効率を高めます。
3.立面計画工場の外観イメージを設計します。企業のブランドイメージや地域との調和を考慮する際に重要です。
4.断面計画設置する機械の高さやクレーンの数など、工場内部の構造を設計します。これにより、作業の安全性や効率性を確保します。
5.設備計画電気や空調、給排水などの設備系を設計します。これらは工場の運用に不可欠であり、効率的なエネルギー利用を実現するためにも重要です。
これらの基本設計が合意に達した後、次に詳細設計に進みます。詳細設計では、基本設計で決定した内容をもとに、さらに具体的な計画を作成します。
●詳細設計とは
詳細設計のプロセスには、配置、平面、立面、断面の4つの計画を具体的に確定し、各詳細図を作成することが含まれます。また、壁や屋根材、内装材などの仕上げ、ドア、窓、シャッターなど建具の箇所や寸法、床の厚み、クレーンの数と台数などの諸条件を詳細に決定し、さらに、電気、給排水、衛生設備などの設備の仕様と配線、配管ルートを具体化します。
工場の設計では、この詳細設計でのミスが運営に大きな影響を与える可能性があります。そのため、詳細設計は慎重に行う必要があります。設計の各段階で、関係者との十分なコミュニケーションを図り、必要な調整を行うことが重要です。
2.工場の設計から稼働までのプロセス
続いて、工場の設計から稼働までの一般的な流れについて解説していきます。
1.事業構想事業構想の段階ででは、工場の目的や生産能力、立地条件などを明確にし、事業の全体像を描きます。市場調査や競合分析を行い、投資対効果を評価することが求められます。事業構想がしっかりしていることで、後のステップでの意思決定がスムーズになります。
2.基本計画具体的な設計条件を定め、工場のレイアウトや設備の仕様を決定します。生産ラインの効率化や省エネルギー対策、安全性の確保など、さまざまな要素を考慮に入れて計画を立てます。この段階での計画の精度が、後の施工の効率性や工場の運営コストに大きく影響します。
3.詳細設計上述した通り、基本計画を基に詳細な設計図を作成します。構造設計、電気設備設計、配管設計など、各専門分野の技術者が協力し、具体的な設計を行います。この段階では、設計の整合性や法令遵守が重要です。
4.施工詳細設設計に基づいて実際の建設が行われます。施工管理者は、工期の管理や品質の確保、安全対策に注意しながら作業を進めていきます。工事が進む中での柔軟な対応力も、プロジェクトの成功に欠かせません。
5.引き渡し完成した工場が発注者に正式に引き渡されます。この際、設計通りに施工が行われているか、各種設備が正常に機能するかを確認します。
6.稼働工場が実際に稼働を開始し、事業活動が本格化します。稼働初期はトラブルが発生しやすいため、迅速な対応が求められます。また、継続的なメンテナンスや改善活動を通じて、工場の生産性を維持・向上させることが重要です。
3.工場設計業者の選定ポイント
続いて、工場設計業者の選定ポイントを解説します。
●専門性の高さ
工場設計は、製造プロセスや設備の配置、効率的な動線計画以外にも、その土地の法令遵守など、専門的な知識と経験が求められます。業者がどのような分野に強みを持っているか、過去のプロジェクトでどのような成果を上げているかを確認することが重要です。特に、工場を建設する地域に精通している業者を選ぶことで、スムーズな建設の進行が期待できます。
●実績の多さ
実績の多さも選定の重要な要素です。豊富な実績を持つ業者は、様々な課題をクリアしてきた経験を持っています。過去のプロジェクト事例やお客様の声を参考にし、その業者がどのようにクライアントのニーズに応えてきたかを評価しましょう。
●施工以降のサポート体制
施工以降のサポート体制も見逃せません。工場は完成後もメンテナンスや改修が必要となることが多いため、業者がどのようなアフターサポートを提供しているかを確認することが大切です。長期的な視点でのパートナーシップを築ける業者を選ぶことで、安心して運用を続けられます。
●コストマネジメント力
コストマネジメント力も重要です。設計・建設の各段階でのコストを適切に管理し、予算内で最適な結果を出す能力は、業者選定の大きな判断基準となります。透明性のある見積もりを提示し、コスト削減のための提案を行える業者を選びましょう。
4.工場建設を成功させるポイント
工場建設を成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。これらのポイントをしっかりと理解し、計画的に進めることで、効率的かつ安全に工場を建設することが可能となります。
最後に、工場建設を成功させるポイントを解説します。
●新工場の位置づけや用途を明確化
まず、新工場の位置づけや用途を明確にすることが求められます。工場の建設目的や生産する製品、必要な設備や機能を明確にすることで、具体的な設計や建設計画が立てやすくなります。これにより、後々の設計変更や工事の手戻りを防ぐことができ、結果的にコストの削減にも繋がります。
●工場の生産が止まるタイミングから逆算して準備する
工場の生産が止まるタイミングから逆算して準備を進めることが重要です。特に、工場を増築したりリニューアルしたりする場合、既存の生産ラインが一時的に停止する可能性があります。このような場合には、停止期間を最小限に抑えるために、逆算してスケジュールを組むことが求められます。
●機械の移動のタイミングを明確にする
機械の移動のタイミングを明確にすることも大切です。旧工場から新工場への機械移動が伴う場合、移動のタイミングをしっかりと計画することで、生産性への影響を最小限に抑えることができます。これにより、移動による生産の中断や遅延を防ぐことが可能です。
●工場建設に関わる補助金の条件や申請の確認
工場建設に関わる補助金の条件や申請を確認することも忘れてはいけません。ものづくり補助金やHACCP補助金、事業再構築補助金など、工場建設に利用できる補助金は多岐にわたります。これらの補助金を活用することで、建設コストを大幅に削減することが可能ですが、申請時期や条件を事前に確認し、適切に対応することが求められます。
●イニシャルだけでなく、ランニングコストの算出もする
工場建設においては、イニシャルコストだけでなくランニングコストの算出も重要です。建設費用はもちろんのこと、運営開始後に発生する水道光熱費やメンテナンス費用なども考慮に入れる必要があります。
●労働環境の整備
労働環境の整備もまた、工場建設の成功に欠かせない要素です。従業員が働きやすい環境を整えることで、作業効率を向上させることができます。例えば、動線の最適化や適切な照明、空調設備の導入などが挙げられます。これらにより、従業員のストレスを軽減し、生産性の向上を図ることが可能です。
●近隣への影響
近隣への影響にも配慮する必要があります。工場からの排煙や騒音、臭いなどは、近隣住民とのトラブルの原因となり得ます。そのため、これらの問題を事前に予測し、適切な対策を講じることが重要です。地域社会との良好な関係を築くことで、工場の運営が円滑に進むだけでなく、地域の発展にも寄与することができます。
●法律の確認
最後に、工場建設に関わる法律の確認も欠かせません。都市計画法や建築基準法、工場立地法など、工場建設に関わる法律は多岐にわたります。これらの法律を遵守することで、トラブルを未然に防ぎ、安全かつ円滑に工場建設を進めることができます。
詳細については、以下関連コラムをご参照ください。
5.工場建設なら古郡建設へご相談ください
本記事では、工場設計の概要からプロセス、工場建設を成功させるポイントについて詳しく解説しました。工場設計は、計画段階から稼働開始まで多くのステップを踏む複雑なプロセスです。成功するためには、基本的な設計プロセスを理解するだけでなく、適切な業者を選定し、計画を細部まで練り上げることが重要です。
古郡建設は、埼玉県や群馬県で数多くの工場建設の実績を持ち、詳細なヒアリングと綿密な検証を通じて、最適な工法やスペックを提案します。
また、生産性向上や人件費削減を目指した工場の設計を行うことも可能です。
古郡建設の工場建設サービスの特徴や選ばれる理由は下記ページでご紹介しております。詳しくは以下サービスページよりご覧ください。