工場建設
工場の騒音対策5選|環境省の規制基準を基にご紹介

SCROLL

工場の騒音に関する苦情は、環境省の調査によれば令和3年には前年比で5.3%減少したものの、20年以上にわたって大きな減少は見られず、依然として抜本的な解決が求められています。
本コラムでは、工場の騒音による苦情の現状と環境省の規制基準をもとに、効果的な騒音対策5選を詳しく解説します。

目次

1.工場の騒音による苦情の現状

工場の騒音による苦情の現状

はじめに、工場の騒音による苦情の現状を環境省の資料を基に解説します。

●工場の騒音による苦情の現状

環境省が公表した令和3年度の騒音規制法等施行状況調査によると、全国の地方公共団体が受理した騒音に関する苦情の件数は19,700件に上りました。これは前年度の20,804件から1,104件、5.3%の減少を示していますが、依然として多くの人々が騒音に悩まされていることがわかります。

特に注目すべきは、工場・事業場に関連する騒音苦情の件数です。令和3年度には5,473件の苦情が寄せられており、全体の27.8%を占めています。これは建設作業に次いで2番目に多い数値であり、工場の騒音が地域社会に与える影響の大きさを示しています。さらに、特定の地域内での規制対象となる工場に対する苦情は723件で、全体の13.2%を占めています。これは、規制があるにも関わらず、多くの苦情が寄せられている現状を示しています。

都道府県別に見ると、東京都が最も多く4,001件、大阪府が2,095件、愛知県が1,797件と続きます。これらの地域は大都市を有しており、人口密度が高いため、騒音問題がより顕著に現れる傾向にあります。特に人口100万人当たりの苦情件数でも同様の傾向が見られ、都市部における騒音対策の重要性が浮き彫りになっています。

また、低周波音に関する苦情も見逃せません。令和3年度には347件の低周波音に関する苦情があり、そのうち工場・事業場に関連するものが97件、全体の28.0%を占めています。低周波音は通常の騒音とは異なり、特定の健康被害を引き起こす可能性があるため、より慎重な対策が求められます。

参考:令和3年度騒音規制法等施行状況調査の結果について|環境省

2.騒音の規制基準をご紹介

騒音の規制基準をご紹介

日本における騒音の規制基準は、主に「環境基本法」と「騒音規制法」に基づいています。これらの法律は、地域の特性や時間帯に応じて異なる基準を設けることで、住民の健康と生活の質を守ることを目的としています。以下で、詳しく解説します。

●環境基本法

騒音に係る環境基準について|環境省

画像引用:騒音に係る環境基準について|環境省

地域はその特性に応じてAA、A、B、Cの4つの類型に分類され、それぞれに基準値が設定されています。AA地域は、療養施設や社会福祉施設が集まるなど、特に静穏が求められる地域で、昼間は50デシベル以下、夜間は40デシベル以下とされています。A地域は主に住居用の地域で、昼間は55デシベル以下、夜間は45デシベル以下です。B地域も住居用ですが、若干の商業活動がある地域で、基準値はAと同様です。C地域は商業や工業が行われる地域で、昼間は60デシベル以下、夜間は50デシベル以下とされています。

参考:騒音に係る環境基準について|環境省

●騒音規制法

この法律では、騒音の大きさや作業時間に応じて、特定工場や事業場に対する規制基準が定められています。区域は第1種から第4種までに分類され、例えば第1種区域では、昼間は45~50デシベル、夜間は40~45デシベルが基準となります。

騒音規制法|環境省

画像引用:騒音規制法|環境省

第4種区域は工業用の地域で、昼間は65~70デシベル、夜間は55~65デシベルとされています。このように、区域ごとに異なる基準が設けられており、それぞれの地域の特性に応じた騒音管理が求められます。

騒音規制法では特定施設として以下の、騒音を発生しやすい施設が指定されています。これらの施設を設置する場合は、事前に市町村長への届出が必要で、基準を超える騒音を発生させた場合は、改善勧告や罰則が科される可能性があります。

※特定施設の種類紹介
1 金属加工機械(圧延機械、製管機械等)
2 空気圧縮機及び送風機(原動機の定格出力が7.5kW以上のものに限る)
3 土石用又は鉱物用の破砕機、摩砕機、ふるい及び分級機(原動機の定格出力が7.5kW以上のものに限る)
4 織機(原動機を用いるものに限る)
5 建設用資材製造機械(コンクリートプラント、アスファルトプラント)
6 穀物用製粉機(ロール式のものであって、原動機の定格出力が7.5kW以上のものに限る)
7 木材加工機械(ドラムバーカー、チッパー等)
8 抄紙機
9 印刷機械(原動機を用いるものに限る)
10 合成樹脂用射出成形機
※鋳型造型機(ジョルト式のものに限る)

参考:騒音規制法|環境省

3.工場での騒音対策5選をご紹介

工場での騒音対策5選をご紹介

最後に、工場での騒音の種類と具体的な対策について詳しくご紹介します。

●対策すべき騒音の種類

まず、工場で発生する主な騒音の種類を理解することが重要です。これにより、適切な対策を講じることが可能になります。

1. 機械整備の騒音

工場内の機械設備は、動作中に大きな音を発生します。特に老朽化した設備は、摩耗や劣化により通常よりも大きな音を出すことがあります。

2. 作業による騒音

溶接や切断、打撃作業など、特定の作業自体が騒音の原因となります。これらの作業は一時的であっても、日常的に行われるため、累積的な騒音問題を引き起こします。

3. 車両による騒音

工場内外を行き来するフォークリフトやトラックなどの車両も、騒音源の一つです。特にエンジン音や荷物の積み下ろし時の音が問題となります。

4. 人の話し声による騒音

意外かもしれませんが、作業者同士のコミュニケーションも騒音の一因です。特に広い工場内で大声での会話が必要な場合、これが騒音として認識されることがあります。

●具体的な騒音対策5選

続いて、騒音問題を解決するためには、以下のような具体的な対策が効果的です。

1. 遮音

遮音とは、音が伝わるのを防ぐことです。工場では、遮音壁や遮音パネルを設置することで、特定のエリアからの音漏れを防ぎます。これにより、機械音や作業音が他の作業エリアや外部に漏れるのを防ぐことができます。遮音材には、鉛シートや特殊な吸音材が用いられることが多いです。

2. 吸音

吸音は、音を吸収して反射を抑える方法です。吸音材を使用することで、室内の音の反響を減らし、騒音レベルを下げることができます。工場の壁面や天井に吸音パネルを取り付けることで、作業環境が大幅に改善されます。特に、金属加工や木材加工を行う工場では有効です。

3. 防振

防振は、振動による騒音を抑えるための対策です。機械の振動が建物に伝わることで発生する騒音を防ぐために、防振ゴムや防振マウントを使用します。これにより、機械の振動が床や壁に伝わるのを防ぎ、騒音を大幅に減少させることができます。

4. 作業時間の変更

騒音が特に問題となる時間帯を避けるために、作業時間を見直すことも有効です。例えば、近隣住民の生活に影響を与えないよう、早朝や深夜の作業を避けることが考えられます。また、騒音が大きい作業は、他の作業者が少ない時間帯に行うことで、作業者への影響を軽減できます。

5. 工場のレイアウト変更

工場内の設備配置を見直すことで、騒音の発生源を遠ざけることができます。特に、音が直接外部に漏れないようにするために、騒音を発生させる機械を工場の内部に配置することが有効です。このようなレイアウト変更により、騒音の外部への影響を抑えることができるため、設計時から騒音対策を施すも重要です。

4. 工場建設・改修工事なら古郡建設へご相談ください

本記事では、工場の騒音による苦情の現状や環境省の騒音規制基準を基に、効果的な対策を5つご紹介しました。遮音パネルの設置など費用をかけずとも、工場内の設備配置を見直すことで騒音対策を施すこともできます。ぜひ、ご紹介した対策を参考にしていただき、騒音対策にお役立ていただければ幸いです。

古郡建設は、埼玉県や群馬県で数多くの工場建設の実績を持ち、詳細なヒアリングと綿密な検証を通じて、最適な工法やスペックを提案します。
また、騒音対策を目指した工場の設計や改修を行うことも可能です。
古郡建設の工場建設サービスの特徴や選ばれる理由は下記ページで詳しくご紹介しております。詳しくは以下サービスページよりご覧ください。

古郡建設 工場建設サービスページ

対応エリア AREA

古郡建設は、埼玉県・群馬県で、多くの印象的な
倉庫を多数生み出してまいりました。

埼玉県 
上尾市 朝霞市 伊奈町 入間市 小鹿野町 小川町 桶川市 越生町 春日部市 加須市 神川町 上里町 川口市 川越市 川島町 北本市 行田市 久喜市 熊谷市 鴻巣市 越谷市 さいたま市 坂戸市 幸手市 狭山市 志木市 白岡市 杉戸町 草加市 秩父市 鶴ヶ島市 ときがわ町 所沢市 戸田市 長瀞町 滑川町 新座市 蓮田市 鳩山町 羽生市 飯能市 東秩父村 東松山市 日高市 深谷市 富士見市 ふじみ野市 本庄市 松伏町 三郷市 美里町 皆野町 宮代町 三芳町 毛呂山町 八潮市 横瀬町 吉川市 吉見町 寄居町 嵐山町 和光市 蕨市
群馬県 
安中市  伊勢崎市  板倉町  上野村  邑楽町  大泉町  太田市 神流町  甘楽町 桐生市  渋川市 下仁田町 榛東村 高崎市 館林市 玉村町 千代田町  富岡市 南牧村 藤岡市 前橋市 みどり市 明和町 吉岡町

よくある質問

倉庫・工場・店舗設計、何からはじめたらいいのでしょうか?

まずはお客様の構想を明確化します。規模や予算・用途を明確化させる事で、土地探しやリニューアルの規模感がある程度定まります。
特に埼玉・群馬での建設の場合、主要交通網とのアクセスによって倉庫・工場の利便性、店舗の集客力に大きな差が出ます。
また、用途地域による制限や、地盤による向き不向きもあるため、詳細はお問合せください。

埼玉県における倉庫・工場建設の特徴や用地探しのコツはありますか?

埼玉県は首都東京と隣接しており、各幹線道路や貨物運搬に長じた鉄道網が整備されており、大手企業も含めた大型倉庫がこうした交通網を中心に集中しています。一方、既にこうした利便性の高い地域に大きな土地を確保するのが難しく、県内広域にわたり首都圏の物流を支える倉庫や、京浜工業地帯に関連する工場等の建設が進んでおります。
広大な土地の確保は難しいものの、最近では小型倉庫を複数確保し拠点間の在庫・生産状況の連携を密にした運用を行う企業様が多く見られます。埼玉の立地動向や魅力については下記コラムで詳しく解説しています。

埼玉県内に工場を建設するメリットとは?立地の動向や魅力を解説

私たち古郡建設は、埼玉・群馬で1世紀にもわたって地域発展のご支援をして参りました。埼玉で倉庫・工場建設用地にお悩みの場合はぜひ一度ご相談ください。

群馬県における倉庫・工場建設の特徴や用地探しのコツはありますか?

埼玉より遠いものの首都圏や京浜工場地帯に近く、また県内を北関東自動車道・関越自動車道・上信自動車道が通り甲信越地方へのアクセスが良いのが群馬県の特徴であり、そのため群馬県には業種問わず様々な工場が見られます。特に鉄道や航空機、自動車など輸送用機械器具のように広大な土地を要する大型製品の工場、江戸末期以降の歴史的背景を持つ製糸・亜鉛地金の加工工場、ナショナルブランドがこぞって群馬に工場を構える食品工場が有名です。特に県内の太田・館林・藤岡・富岡に工場が集中しております。
一方倉庫などの物流拠点は太田・館林にも多く見られますが、前橋・高崎・安中といった鉄道沿線にも多く見られ、埼玉よりも広域をカバーする物流拠点として活用されている傾向が見られます。群馬の立地動向や魅力については下記コラムで詳しく解説しています。

群馬県内に工場を建設するメリットとは?立地の動向や魅力を解説

私たち古郡建設は、埼玉・群馬で1世紀にもわたって地域発展のご支援をして参りました。群馬で倉庫・工場建設用地にお悩みの場合はぜひ一度ご相談ください。

埼玉や群馬の店舗建設の特徴やコツはありますか?

埼玉・群馬は特に鉄道などの交通網整備により人口の集中が進み、かつ大宮や高崎といったオフィス展開が進む地域もあり、ターミナル駅周辺では都心と変わらないような駅ビルや駅前店舗も見られ、通勤・通学利用者をターゲットとした店舗展開が進んでいます。
一方、幹線道路と自家用車が主な交通手段として機能する地域もあり、こうした地域では幹線道路沿いに広大な駐車場を併設した郊外型店舗の展開が主流です。客層もファミリー層が主体となります。
二極化傾向が進む中、商品やメインターゲットに応じた立地と店舗設計が埼玉・群馬の店舗建設の鍵となります。
私たち古郡建設は、埼玉・群馬で1世紀にもわたって地域発展のご支援をして参りました。埼玉・群馬で店舗建設にお悩みの場合はぜひ一度ご相談ください。

事業用地があり活用方法に悩んでいます。

古郡建設では、埼玉県・群馬県の事業用地を募集しています。具体的な募集内容については下記で詳しく記載しています。
事業用地募集
私たち古郡建設は、埼玉・群馬で1世紀にもわたって地域発展のご支援をして参りました。事業用地に関してお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。

資料ダウンロード

古郡建設の会社の概要からご提供しているサービスまで、
資料として詳しく解説しています。

古郡建設とは ABOUT

お客様から愛され、
常に必要とされる古郡建設を築くために。

わたしたち古郡建設は、大正3年の創業以来1世紀以上にわたり、地域発展のお手伝いを続けてまいりました。そして多くの皆さまに支えられながら、これまで高い評価をいただくことができました。

ただし今、世界は、社会の構造を変えるような技術の進歩、先の見えない国際情勢など、歴史的な激動の時代を迎えています。

このような時代の中で、生き残り、そして発展を遂げていくには、これまでとはまったく違うやり方や考え方が必要です。建設会社の仕事は、街をより住みやすく変えていくことです。

街を変えるのが仕事なら、建設会社自体も、時代の変化に合わせて変わっていかなければならないと、強く感じております。閉塞感、若者離れ、固い…従来の建設業界のイメージを突きぬけることが、更なる発展に必要不可欠なのです。

代表取締役社長 古郡栄一

資料ダウンロード

古郡建設の会社の概要からご提供しているサービスまで、
資料として詳しく解説しています。