倉庫建設
倉庫作業のヒヤリハット事例まとめ

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倉庫や製造現場で働く方なら、一度は「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりする瞬間を経験したことがあるでしょう。これがいわゆる「ヒヤリハット」です。事故や怪我には至らなかったものの、そうなりかねない状況や出来事のことを指します。このヒヤリハットをどのように捉え、対策を講じるかが、重大な事故を未然に防ぐための鍵となります。そのため、製造業や物流業の管理者にとって、新しい事例の収集とその対策は欠かせない業務の一部になります。
本コラムでは、倉庫作業で実際に起きたヒヤリハットの事例を紹介し、これらの事例から見えてくるヒヤリハットの原因を分析、未然に防ぐための具体的な対策について解説します。

目次

1.ヒヤリハットとは

ヒヤリハットとは

ヒヤリハットとは、倉庫や製造現場などで「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりする瞬間を指します。具体的には、事故や怪我には至らなかったものの、そうなりかねない状況や出来事のことです。これらの事象を記録し分析することで、重大な事故を未然に防ぐための貴重なデータとなります。

また、ヒヤリハットの重要性を理解するためには、ハインリッヒの法則についても知っておく必要があります。ハインリッヒの法則とは、1件の重大事故の背後には29件の軽微な事故があり、その背後にはさらに300件のヒヤリハットが存在するという統計的な法則です。つまり、ヒヤリハットを見逃さずに対策を講じることで、重大な事故の発生を大幅に減少させることが可能となります。

2.倉庫作業で起きたヒヤリハットの事例紹介

倉庫作業で起きたヒヤリハットの事例紹介

続いて、実際に倉庫で起きたヒヤリハットの事例を5つご紹介します。

(参考サイト「厚生労働省 職場のあんぜんサイト」:https://anzeninfo.mhlw.go.jp/hiyari/anrdh00.html」)

事例1.フォークリフトの左後部と倉庫の壁の間に挟まれそうになった事例

-状況-
倉庫内にて、フォークリフトの左側に立ち、検品のためフォークリフトの運転手と会話した後、フォークリフトが右に旋回して発進した際、フォークリフトの左後部と倉庫の壁の間に挟まれそうになりました。

-原因-
フォークリフトの運転手が、検品作業員の位置をよく確認しないままフォークリフトを発進させたこと。また、検品作業員は、フォークリフトの発進前に安全な場所へ移動しなかったことが原因です。

-対策-
フォークリフトの運転操作及び発進の際は、「右ヨシ、左ヨシ、前方ヨシ」と指差呼称を行うなど、周囲の安全を十分に確認すること。また、フォークリフトの周囲で作業する者は、フォークリフトの運転手から見える安全な立ち位置を確保することが必要です。

事例2.倉庫内の見通しが悪かった事例

-状況-
電気計器組立職員が作業に必要な部品を急いで調達する必要が生じました。そこで、電気計器部品等倉庫に行き小走りで庫内移動中、交差十字路で横方向の作業者に出会ったので接触を避けようと立ち止まろうとしたところ、よろめいて転びそうになってしまいました。

-原因-
倉庫に積み込んでいる電気計器部品が2.0m近く積み込まれ、横方向の見通しがよくなかったこと、見通しが悪いにもかかわらず、倉庫を小走りで移動していたことが原因です。

-対策-

  • 倉庫内移動は、普通歩行速度で移動すること。
  • 必要により交差点では一旦停止し、左右確認を励行するよう指導すること。
  • 作業靴は定期的に点検し、靴底のすりへったものは交換すること。

事例3.作業手順が徹底されていなかった事例

-状況-
倉庫内に積んでいたフレコンバッグ(玄米が入ったもの。重さ約1t)の一部に崩れる気配があるのを発見し、崩壊防止のため、はい替えを実施しようとしていたところ、フレコンバッグの傾きが悪化して崩れだしたことに気づき、退避しました。

-原因-
フレコンバッグは倉庫壁面に向かって傾斜させるようにはい付けすることが決められていたが、作業手順が徹底されず、実際のフレコンバッグは異なる方向に傾斜していました。また、形状が変わる危険性のある高さまで積み上げられていました。

-対策-

  • はい付けに関わる作業手順書を作成し、作業手順を徹底すること。
  • リスクアセスメントを実施し、はい付けする高さを制限する等、はい作業における危険性を除去、低減することが求められます。

事例4.フォークリフト作業の不注意

-状況-
作業員が製品倉庫内の床を箒で清掃中、製品を運搬しに来たフォークリフトの運転手がフォークリフトの爪をパレットに差し込んだ時、パレットが前方に動いてたまたまパレットのそばにいたため足をはさまれそうになりました。

-原因-
清掃に集中していたためフォークリフトに近づいたことに気づかなかったこと。 また、運転手がフォークリフトの爪をパレットに差し込む時、近くに作業員がいるにもかかわらず声掛けをしなかったことが原因です。

-対策-

  • フォークリフトにパトライトや警告ブザー等の接近を知らせる警報器を取り付けること。
  • 作業員はフォークリフトの稼働中はフォークリフトに近づかないこと、またフォークリフト運転手は、常に周辺に気を配り、声掛け等で注意を促すこと。

事例5.安全衛生教育がされていなかった事例

-状況-
倉庫でオーダーピッキングリフトに乗って棚から商品を選別収集していたところ、商品に手が届かず高さ2.45mから墜落しそうになりました。

-原因-
オーダーピッキングリフトの運転時に、安全帯を使用させていなかったこと。オーダーピッキングリフトの安全作業に関する教育を行っていなかったことが原因です。

-対策-
オーダーピッキングリフトの運転時は、労働者に安全帯を着用させること。オーダーピッキングリフトの安全作業に関する教育を行うことが必要です。

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3.倉庫作業で起きたヒヤリハットの原因

倉庫作業で起きたヒヤリハットの原因

続いて、倉庫作業で起きたヒヤリハットの原因について、人的要因、環境要因、システム要因の3つに分けて解説します。

●人的要因

1.不注意や疲労
倉庫作業は、単調な作業が続くことが多く、従業員の不注意や疲労がヒヤリハットの原因となることがあります。特に、長時間労働やシフト制による夜勤などが続くと、集中力が低下し、ミスが発生しやすくなります。このような状況を防ぐためには、適切な休憩時間の確保やシフト管理が重要です。

2.教育不足
新入社員や経験の浅い作業員に対する教育不足も、ヒヤリハットの一因です。倉庫作業には多くの専門知識やスキルが必要であり、適切な教育が行われていないと、作業手順を誤ったり、安全対策を怠ったりする可能性があります。定期的な研修やOJTを通じて、従業員のスキル向上を図ることが求められます。

●環境要因

1.作業環境の整備不足
倉庫内の整理整頓が不十分であると、作業効率が低下し、事故のリスクが高まります。例えば、通路に荷物が散乱していると、フォークリフトの運転が困難になり、衝突事故が発生する可能性があります。定期的な清掃や整理整頓の徹底が必要です。

2.導線の流れが悪い
ヒヤリハットの原因で意外と見落とされやすいのが、導線の整備です。倉庫内の導線が悪い場合、作業員が無駄な動きを強いられ、ヒヤリハットが発生しやすくなります。例えば、狭い通路や複雑なレイアウトは、作業員同士が衝突したり、機械に接触したりする原因となります。また、ヒヤリハットの原因となるだけでなく、作業効率も悪くなり、生産性が落ちる原因にもなります。
そのため、優先順位を上げて取り組む必要があります。

●システム要因

1.手順やルールの不徹底
倉庫作業においては、標準作業手順や安全ルールの徹底が求められます。しかし、これらが不十分であると、作業員が独自の方法で作業を行い、ヒヤリハットが発生する可能性があります。手順書の整備や定期的な見直しを行い、全従業員に周知徹底することが必要です。

2.コミュニケーション不足
作業員同士のコミュニケーションが不足していると、情報の伝達ミスや誤解が生じやすくなります。特に、シフト交代時や緊急時には迅速かつ正確な情報共有が求められます。コミュニケーション不足は、ヒヤリハットの原因となるだけでなく、重大な事故に繋がるリスクも高まるため、定期的なミーティングや報告体制の整備が必要です。

4.倉庫作業で起きるヒヤリハットを防ぐための対策

倉庫作業で起きるヒヤリハットを防ぐための対策

最後に、倉庫建設で注意したいポイントについてご紹介します。

●声掛けの徹底

まず、作業中の声掛けを徹底することが重要です。作業員同士が互いに声を掛け合うことで、周囲の状況を把握しやすくなります。特にフォークリフトなどの重機を使用する際には、周囲の作業員に注意を促すことで事故を防ぐことができます。

●教育と訓練

次に、定期的な安全教育と訓練の実施が必要です。安全教育では、過去に発生したヒヤリハット事例を共有し、類似の状況を避けるための対策を学びます。また、実際の作業を模擬した訓練を行うことで、作業員の安全意識を高めることができます。

●作業環境の整備

作業環境の整備も、ヒヤリハットを防ぐためには重要な要素です。まず、作業場の整理整頓の徹底と機械設備の定期点検も行いましょう。また、異常があればすぐに整備や修理する体制を整えることが重要です。
さらに、導線の見直しやレイアウトの最適化も考慮すべきポイントです。従業員と生産ラインの動き全体を俯瞰して考え、作業者がスムーズに動ける導線を確保しましょう。
そうすることで、作業効率を上げるとともに、ヒヤリハットのリスクを低減させることが期待できます。

●システムの改善

システムの改善も、ヒヤリハット対策には欠かせません。まず、ヒヤリハット報告制度の導入が推奨されます。従業員が気づいたヒヤリハットをすぐに報告できる仕組みを整えることで、早期に対策を講じることができます。また、報告された情報は、全員で共有し再発防止策を検討することが重要です。

そして、チーム間のコミュニケーション強化も必要です。情報の共有が不足すると、ヒヤリハットが発生した際の対応が遅れることがあります。定期的なミーティングを開催し、情報共有を徹底することで、チーム全体の安全意識を高めましょう。

5.倉庫のヒヤリハットに関するまとめ

今回は、倉庫作業のヒヤリハットの事例や原因、またヒヤリハットを防ぐためのポイントをご紹介しました。
上述の通り、ヒヤリハット防止だけでなく、生産性向上にも関わるため、導線の見直しやレイアウトの設計は、優先的に取り組むべきポイントです。
ただ、最適な導線の見直しやレイアウトの設計はノウハウがない場合、自社だけで検討することはむずかしい場合もございます。その場合にはぜひ、古郡建設にご依頼ください。
古郡建設では、埼玉県や群馬県で多数の工場設計の実績を持ち、長年の経験と実績からお手伝いさせていただきます。効率の良い導線や生産ライン、空間作りをご提案することも可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

また、以下のコラムでは、工場のヒヤリハット事例についてもご紹介しています。

>工場のヒヤリハット事例まとめ

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よくある質問

倉庫・工場・店舗設計、何からはじめたらいいのでしょうか?

まずはお客様の構想を明確化します。規模や予算・用途を明確化させる事で、土地探しやリニューアルの規模感がある程度定まります。
特に埼玉・群馬での建設の場合、主要交通網とのアクセスによって倉庫・工場の利便性、店舗の集客力に大きな差が出ます。
また、用途地域による制限や、地盤による向き不向きもあるため、詳細はお問合せください。

埼玉県における倉庫・工場建設の特徴や用地探しのコツはありますか?

埼玉県は首都東京と隣接しており、各幹線道路や貨物運搬に長じた鉄道網が整備されており、大手企業も含めた大型倉庫がこうした交通網を中心に集中しています。一方、既にこうした利便性の高い地域に大きな土地を確保するのが難しく、県内広域にわたり首都圏の物流を支える倉庫や、京浜工業地帯に関連する工場等の建設が進んでおります。
広大な土地の確保は難しいものの、最近では小型倉庫を複数確保し拠点間の在庫・生産状況の連携を密にした運用を行う企業様が多く見られます。埼玉の立地動向や魅力については下記コラムで詳しく解説しています。

埼玉県内に工場を建設するメリットとは?立地の動向や魅力を解説

私たち古郡建設は、埼玉・群馬で1世紀にもわたって地域発展のご支援をして参りました。埼玉で倉庫・工場建設用地にお悩みの場合はぜひ一度ご相談ください。

群馬県における倉庫・工場建設の特徴や用地探しのコツはありますか?

埼玉より遠いものの首都圏や京浜工場地帯に近く、また県内を北関東自動車道・関越自動車道・上信自動車道が通り甲信越地方へのアクセスが良いのが群馬県の特徴であり、そのため群馬県には業種問わず様々な工場が見られます。特に鉄道や航空機、自動車など輸送用機械器具のように広大な土地を要する大型製品の工場、江戸末期以降の歴史的背景を持つ製糸・亜鉛地金の加工工場、ナショナルブランドがこぞって群馬に工場を構える食品工場が有名です。特に県内の太田・館林・藤岡・富岡に工場が集中しております。
一方倉庫などの物流拠点は太田・館林にも多く見られますが、前橋・高崎・安中といった鉄道沿線にも多く見られ、埼玉よりも広域をカバーする物流拠点として活用されている傾向が見られます。群馬の立地動向や魅力については下記コラムで詳しく解説しています。

群馬県内に工場を建設するメリットとは?立地の動向や魅力を解説

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埼玉や群馬の店舗建設の特徴やコツはありますか?

埼玉・群馬は特に鉄道などの交通網整備により人口の集中が進み、かつ大宮や高崎といったオフィス展開が進む地域もあり、ターミナル駅周辺では都心と変わらないような駅ビルや駅前店舗も見られ、通勤・通学利用者をターゲットとした店舗展開が進んでいます。
一方、幹線道路と自家用車が主な交通手段として機能する地域もあり、こうした地域では幹線道路沿いに広大な駐車場を併設した郊外型店舗の展開が主流です。客層もファミリー層が主体となります。
二極化傾向が進む中、商品やメインターゲットに応じた立地と店舗設計が埼玉・群馬の店舗建設の鍵となります。
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