工場や倉庫を建設する際には、設計と施工が必要になりますが、デザイン設計業者や工事業者、ゼネコンなどさまざまな委託先があり、どこに発注すべきか迷うこともあるかもしれません。
一般的に設計と施工を別の事業者に委託する方法と、設計と施工の両方を一つの事業者に委託する方法の2通りに分かれます。発注する際にはそれぞれの違いを知り、建築物や状況に応じて、最適な手法を選択する必要があります。
そこで今回は、設計施工分離方式の発注方式の特徴からメリットとデメリット、発注方式の選定のポイントまで解説します。
1.設計施工分離方式とは?

まずは設計施工分離方式の概要を解説します。
●設計施工分離方式とは?
設計施工分離方式とは、「設計」と「施工」を別々の事業者に発注することをいいます。
建設プロセスは、大きく設計段階と施工段階の2つに分かれます。「設計」はこれから建設する建物の図面を描き、建設に必要な許可申請の書類を作成する業務です。一方、建物の建築工事を実際に現場で行うのが「施工」です。
世の中には設計のみを請け負う設計事務所や、施工のみを請け負う工務店や建設会社、そして設計と施工両方を請け負うハウスメーカーや工務店、ゼネコンなどがあります。
設計施工分離方式では、例えば設計を設計事務所に依頼した後、その設計をもとに工事は工務店に依頼するという流れとなります。
・設計・施工分離の原則について
日本では、公共工事については「設計・施工分離の原則」にのっとり、設計・施工分離が採用されています。
一般的な工事では、必ずしも分離する必要はありませんが、この原則により、設計者は施工に関する制約を受けずに設計を行い、施工業者は設計図面に忠実に施工を行うことが可能です。発注側にとっては健全な建設が可能になるメリットがあることから、基本的な発注方式となっています。
●設計施工一括方式との違い
設計と施工を同一事業者に発注することを「設計施工一括方式」と呼びます。事業者は、設計後に発注企業の承認や建築確認を受けた上で、施工を行います。
日本では設計施工分離方式が主流ですが、近年は設計施工一括方式も増えてきています。設計施工一括方式には工事金額の早期調整や工期短縮などのメリットがあることから注目を集めています。
設計施工一括方式については、下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
2.設計施工分離方式のメリット・デメリット

設計施工分離方式には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
【メリット】
・設計と施工の細かな相見積もりによる比較が可能
設計施工分離方式は設計と施工を別々の事業者に依頼するため、設計を委託する事業者を複数社より選定することになります。そして施工を委託する事業者についても複数社より選定できます。
これにより、設計も施工も細かな項目に関して相見積もりが可能であり、クオリティや自社事業とのマッチ度などを比較検討できます。
設計施工一括方式の場合、見積もりの内容について設計と施工とが完全に分離していないケースもあり、一括で表示していることもあります。その結果、設計と施工に関して細かな相見積もりがとれないことがあります。それに比べ、より細かな項目で見積もり比較ができるのは、設計施工分離方式ならではのメリットといえます。
・設計施工一括方式と比べてコストが明確
設計施工分離方式は、先述の通り、相見積もりが可能であることから、設計と施工に関するコストが明確になる傾向があります。一方、設計施工一括方式の場合は同じ設計施工を一括で請け負っている事業者同士を比較する際に、コストの項目の基準がそろっていないことが多く、純粋にコスト比較ができないことがあります。
それに比べると、設計施工分離方式はコストの透明性が高くなるといえるでしょう。
・デザイン性や設計の質を高めやすい
設計施工分離方式で委託された設計事業者は、施工にかかる手間やコスト、時間などをそれほど加味せずに、設計に注力しやすいといえます。デザイン性や設計の質をとことん追求するため、結果的に施工コストが高額になりがちですが、そこから不要な部分をそぎ落としていき、予算の範囲にとどめるのが一般的です。
一方、設計施工一括方式では設計者は施工の状況を加味してコストや手間を圧縮しながら効率の良い設計を行う傾向があります。その結果、デザイン性や設計の質が、効率性よりも後回しにされてしまいがちです。
【デメリット】
・設計段階で施工のノウハウが反映されない
設計施工分離方式では、基本的に施工は専門外であるため、設計に専念できるメリットがあります。しかし裏を返せば、設計に施工のノウハウが反映されず、改めて施工の実現性を検討しなければなりません。この点はデメリットといえます。
・設計と施工業者の橋渡しが必要
設計施工分離方式で、設計事務所と建設会社の2社に委託した場合、この2社の間を取り持つのは発注者の自社となります。両社の橋渡し役としてうまくコントロールして管理し、設計内容通りの施工を実現する必要があります。
・工期が延びることがある
設計施工分離方式は設計施工一括方式と比べて、工期が延びやすいといわれています。その理由として大きいのは、関係者が複数社に及ぶこと、また設計と施工のすり合わせに時間がかかることなどがあります。
・責任の所在が曖昧になることがある
工事中や施工後に、設計や施工の面で何らかのトラブルが生じた場合、責任の所在がどこにあるのかが曖昧になることがあります。例えば設計と施工の両方にまたがる問題であることもあるからです。
その点、設計施工一括方式の場合、委託先は1社であるため、責任の所在を明確にしやすいといえます。
・見積もりや設計の再調整が生じることがある
先述の通り、設計施工分離方式では一般的に、設計者が自由に自社の希望通りに設計した後、実現可能性を検討します。そのため、あらかじめ見積もっていた予算を大幅にオーバーすることも珍しくありません。つまり見積もりや設計は再調整を重ねるのを前提とし、余裕を持ったスケジュールを組む必要があるでしょう。
3.発注方式の選定のポイント

これから建設を行う際には、設計施工分離方式と設計施工一括方式どちらにするかを選定する必要があります。そこで、選定時に最低限、押さえておくべきポイントをご紹介します。
●コスト・スケジュール・工事規模など総合的に判断する
大前提として、一つの項目に偏るのではなく、総合的に判断することが大切です。安くても自社の希望が反映されなければ意味がありません。またスケジュールに期限がある場合、設計にばかりこだわってもいられません。工事規模が大きいほど、設計も施工も手抜かりなく行う必要があります。ケースに応じて重視する項目が異なるため、総合的に吟味しましょう。
●中小規模工事であれば一括方式のほうがコストを抑えられる
中小規模工事の場合は、工期の短縮およびコスト低減が期待できる設計施工一括方式のほうが向いている可能性があります。これもケースバイケースであるため、何を重視するかをあらかじめ決めておきましょう。
●透明性を重視するなら分離方式がより良い
先述の通り、コストの透明性を重視する場合は、設計施工分離方式のほうが適しています。細かく項目を比較選定することで、適切な意思決定が可能になるでしょう。
●設計の質にこだわるなら分離方式が適している
デザイン性を重視する建築物や自社オリジナルの特殊な設計が求められる際など、設計の質にこだわる場合は設計施工分離方式にすると、より理想に近づきます。納得のいく設計を行った後、それを実現できる施工会社を募るというのも一案です。
4.まとめ
設計施工分離方式は、デザイン性など特定のこだわりを追求したい場合にはメリットがある一方、発注者の管理負担が大きく、工期遅れやコスト超過のリスクも伴います。
とくに、確実な事業計画と早期稼働が求められる「工場・倉庫」の建設においては、窓口が一つで責任の所在が明確な「設計施工一括方式」の方が、圧倒的にスムーズで安心です。
埼玉県・群馬県で長年実績を積む古郡建設では、事前の設計から施工、さらには完成後の保守メンテナンスまでをワンストップで一貫対応しております。分離方式のデメリットである「調整の手間」や「責任の曖昧さ」を排除し、貴社に最適な工場・倉庫建設をご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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