工場や倉庫の増築や改築の際などには、守る必要のある法律がいくつかありますが、うっかり違反してしまい、そのまま見過ごしてしまうこともあります。違法建築となってしまうと大きな損害につながります。
今回は、違法建築とは何か、違法建築に対する罰則や指導の内容、工場・倉庫における違法建築のリスクと予防策を解説します。
1.違法建築とは?

まずは違法建築の基本を確認しておきましょう。
●違法建築とは?
違法建築とは、建築基準法や条例に違反している物件をいいます。建築基準法とは、建築物の敷地や構造、設備、用途に関する最低基準が定められている法律です。
建築を行う際には、必ず建築基準法やその地域を管轄する自治体の法律に則って建築する必要がありますが、それらに違反している場合に違法建築と呼ばれます。
●違法建築の例
では、どのような建築物が違法建築に該当するのでしょうか。実際の例を見ていきましょう。
・建蔽率、容積率に違反している
このケースは非常に多いといわれています。建蔽率とは「敷地面積に対する建築面積の割合」、容積率とは「敷地面積に対する建物の延べ面積の割合」のことを指します。建築面積や延べ面積が増改築によって増えることで、規定をオーバーしてしまった状態です。
>建蔽率・容積率とは?工場や倉庫の建設前に押さえておきたい基礎知識を解説
・斜線制限に抵触
斜線制限とは、建物と建物の間に必要な空間を設けることで、日照や採光、通風を確保することを目的に設けられている制限です。例えば道路斜線制限では、前面道路の反対側の境界線から、一定距離以下の範囲内に制限されています。この制限に抵触している状態です。
・接道義務を満たしていない
建築基準法では、道路に敷地が接している義務がありますが、その接道義務を果たしていない状態です。
・建築確認申請と異なる内容の建築物
建築物は、必ず工事を始める前に建築確認申請を行い、設計図面等が法律で定められた基準に適合しているかどうかを確認しなければなりません。また工事後も計画通りに建築を行わなければなりません。しかし、建築後に申請内容と異なっていたというケースもあります。
・許可のない用途での使用
建築基準法では、建築物は利用目的に応じて用途が決められており、その用途を事前に申請する必要があります。しかし、使用しているうちに別の用途に変更したのにも関わらず、申請しないでいると許可なしで用途変更したとみなされます。
●既存不適格物件との違い
違法建築と似ているものの中に、既存不適格建築物というものもあります。これは、建築された当初は法律に適合していたものの、当初の法律が改正されたため、新基準に適合しなくなってしまった建築物を指します。違法建築には該当しませんが、今後、改築する場合には、新基準に適合させる必要があります。
2.違法建築に対する罰則・指導

違法建築に該当した場合、どのような罰則があるのでしょうか。確認しておきましょう。
●「特定行政庁による命令」
違法建築物に該当すると、特定行政庁による命令の規定があり、建築物の使用禁止等の命令が下される恐れがあります。しかし、命令の前に、建築物の権利者に対して意見書の提出などを求める通知書を交付する必要がある旨が規定されています。つまり意見を言う機会はあるということです。
しかし、近隣住民に影響を及ぼすなど、緊急性がある場合は、直ちに使用禁止や制限の命令を出すことができるとも規定されています。
●違法建築に対する罰則
罰則についての規定では、違法建築物に対する命令に違反した場合、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科せられます。
また氏名の公表、業務停止のほか、設計や施工を担った業者の責任が問われる場合は免許の取消などのリスクもあります。
3.工場・倉庫における違法建築のリスクと予防策

工場・倉庫を建築する際には、違法建築のリスクがあります。あらかじめ予防策を取っておきましょう。
●違法建築のリスク
・増改築の際に違反する恐れ
工場や倉庫においては、新築よりも、増築や改築の際に違反してしまうリスクが高いです。
先述の通り、増改築により建蔽率や容積率をオーバーしてしまうことはよくあります。新築で建てた当初は建築確認申請を行い、規定はクリアしていたものの、増改築で面積を広げ、建築確認申請が必要な範囲であるのに申請を怠ると、違法建築となる恐れがあります。
またカーポートを増設した際に、面積が規定以上の場合、申請が必要になります。しかし、それを知らずに申請なしでカーポートを建築してしまうケースが多くあります。特に増改築時には十分に注意しましょう。
・企業イメージ・信頼の低下につながる
例えば東京都では、違法建築物は負(マイナス)の財産として取り締まりを行っており、そのような取り締まりに該当すると企業名などが公表される恐れがあります。その結果、企業イメージの低下や顧客や取引先からの信頼を落としてしまいます。
●予防策
違法建築物に該当しないよう、予防策を複数、実施しておきましょう。
・建築士への相談・工事監理
特に増改築の際には、軽度のものなら申請が必要ないと思って進めてしまいがちですが、必ず建築士へ相談し、工事監理を行ってもらうなどして、確認申請が必要かどうか、規定を超えていないかなどを必ず確認しましょう。
・中間検査と完了検査の実施
確認申請が必要な場合は、工事前はもちろん、工事中の中間検査と工事後の完了検査も必ず受けましょう。
・コンプライアンス強化
社内のコンプライアンス体制を強化することも重要です。法令に関する外部監査を入れるのはもちろんのこと、日ごろからの従業員へのコンプライアンス研修も含めた組織的な意識の変革が重要です。
4.まとめ
違法建築は、周辺環境や社会に対して影響を及ぼすだけでなく、刑事罰や業務停止、企業イメージ低下、信頼喪失などさまざまなリスクがあります。
特に工場や倉庫の改築の際には違法建築になる恐れがあります。万全の予防策を取りながら、リスクに備えましょう。
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